2012年6月16日土曜日

淡窓詩話(15)

淡窓詩話(15)は、【淡窓詩話(14)】の続きです。 
問 一句一聯の妙處は、古人の論を聞きて之を曉れり。篇法の妙に至りては、未だ窺ひ知ること能はず。願はくば其一端を聞かん。


李白が「越中懷古」(「越中懷古」 越王勾踐破呉歸。義士還家盡綿衣。宮女如花滿春殿。只今惟有鷓鴣飛。)、前三句に古を叙べ、後一句に今を叙べたり。是れ亦奇法なり。古今を二句づ﹅に分ち叙ぶることは、通例の法なり。少陵が「花隱掖垣暮」(「春宿左省」 花隱掖垣暮。啾啾棲鳥過。星臨萬戶動。月傍九霄多。不寢聽金鑰。因風想玉珂。明朝有封事。數問夜如何。 )の詩、第一聯に暮色を叙べ、第二聯に夜色を叙べ、第三聯に曉に近きの情事を叙べ、第四聯に明朝の字を下す。篇法森然秩然たるものなり。「春夜喜雨」の詩(「 春夜喜雨 」 好雨知時節。當春乃發生。隨風潛入夜。潤物細無聲。野徑雲倶黑。江船火獨明。曉看紅濕處。花重錦官城。)も亦然り。第一聯晝間を叙べ、第二聯「入夜」の字を下す。第三聯深夜の景を叙べ、第四聯「曉看」の字を下せり。凡そ脈絡は貫通するを貴ぶ。 然れども亦甚だ露る﹅を忌むなり。

淡窓詩話(16)に続く